伝統を受け継ぐ京友禅濡れ描き職人:清水弘祥

京都、洛西の地に工房を構える京友禅職人「清水弘祥」(しみず こうしょう)。 弘祥の作品は京友禅の中でも珍しい「濡れ描き」という技法をとっている。 よく目にする友禅は、量産を図るために型などを使った型友禅が一般的である。 型に色を載せていくため、色の境界線が分かれ、くっきりした表現となる。 それに対し、手描友禅技法の1つである濡れ描きは、 その名の通り、白生地をあらかじめ濡らし、手で描いていく技法である。 型友禅とは対照的に境界線を無くす事が可能で、 “淡く、にじんだ表現”を出すことが可能となる。 そして何度も色を重ね、深い色合いに仕上げる事で、柔らかい独特の表現を生み出す。 この技法は、色を何度も重ねて仕上げていくため1枚にかける手作業の量が膨大かつ、 思うような“にじみ”を表現する熟練された技術が必要とされる。 そのため、弘祥の作品は市場価格100万円を越えるものも珍しくない。

清水弘祥 作品紹介

弘祥作「夜桜」。濡れ描き独特の淡くにじんだ技法により、 桜の柔らかさと遠近感を表現している。昼間の華やかな桜とは対照的に、 夜桜は月の光に照らされ、しっとりとした美しさがある。「夜桜」は 熟練され弘祥の技と、手描きだからこそ出せる 優しさと暖かさが伝わってくる作品である。